›8 10, 2006

うーむ

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 やはり、人よのう。
 増左衛門は軒先をみつめながらつぶやいた。
「殿と話してみてよかったわ、広右衛門」
 広右衛門は全てそのとおりだといった風情で頷き返す。
「己も、己の行き方も、世も、人がつくるのだのう」
 大事じゃ、殿ともっと話とうなったわ、と歩いていく頃には、増左衛門の体からは少し力が抜けているように、広右衛門にはおもえた。
 暮れていく中、庭には、桔梗が凛とした青さを浮かび上がらせていた。

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