公開二日目にしてお客さんが半分入っていない……。しかも、客の95%が高齢者でした。。。
頑張れよ〜歴史物〜。
というわけで、恐らく『トロイ』のヒーロー性とはかなり違う、重厚な歴史物となっています。そのせいでのこの客層というのも頷けるかと。
まずすごいと思ったのが、コリン・ファレルの演技。先にインタビューなどの映像で「ずいぶん自信家っぽいなあ」という印象を受けていたのですが、そんな蔭はどこに!
若々しい19歳のアレキサンダーを見事に演じています。ここまで違う人間に化けられるとは驚き。垂れ眉毛のせいや苦悩のシーンが多いこともありますが、その表情の重さにはなかなか心が動かされました。
また、母親役のアンジェリーナ・ジョリーもピタリはまり役。
元気な役もいいですが、こういうイっちゃった人もかなりいいのでは。大杉漣の悪役みたいに。
彼の部下の一人プトレマイオスが、過去を思い返して語る、という構成になっているのですが、その導入部がややしつこく、歴史好きでない人は「もうここで寝るかも」と危惧してしまいました。
でもアンソニー・ホプキンスですから! レクター教授がなんかやらかしそうで恐くてドキドキです。
幼少期のエピソードから入り、なかなか大河っぽいつくり。
そして始まる序盤の圧巻「ガウガメラの戦い」。
感覚では30分ぐらいかけたんじゃないかというくらいじっくりと戦いだけを描いています。戦況を、克明に、砂埃で前も見えないほどのリアリティで。
ペルシャ側が静かすぎるのがちょっと不満でしたが、この戦いの知識を元々持っていたこともあり、かなり楽しめました。
しかし、メインとなるのは「夢想家」アレキサンダーの心情描写です。
彼の壮大な想い。異文化への敬意。しかし、地に足をつけている「帰る場所がある」人たちは納得をしない。
ことあるごとに彼の溢れる想いが描かれることが、彼を深く理解する上で非常にプラスになりました。
最期までアレキサンダーに付き従っていたプトレマオスが過去を想い言い放つラストのセリフが、見事な余韻となって心に残りました。
なるほど。それがアレキサンダーなのだ。
アレキサンダーが男色家として描かれていましたが、彼の幼なじみで、恋人(男)であるヘファイスティオンとの心の交流には意外と感情移入してしまいました(いや、私にはその気はありませんよ)。
彼は孤独でしたし、女性ではあの想いは理解してくれなかったかなあ、という気がするのです。
それと、モンゴル野郎としては、観ていてとにかくモンゴル帝国との比較をしてしまいました。やはり、定住民族に世界制覇は無理な話なのですよ。
でも、多分アレキサンダーはB型で周りはみんなB型じゃなかった。みたいな解釈。
3時間という長い映画ですが、時間の長さは全く感じませんでした。
歴史好きにはたまらない要素盛りだくさんの、特にあそこらへんの文化融合浪漫にちょっとでも興味があれば観ることをオススメします。
アレキサンドリア……もっと遺っていて欲しかった……。