最近、当時読まなかった高校時代の課題図書をよく読んでいます。
今頃、というより、よくとっておいたな、って感じですが。
日焼けしてかなり古臭くなったこの本を読んでいたら、なんだか乃木希典にとても合っているようで愛着がわきました。
乃木という人間がとてもよくわかる一冊でした。好きか嫌いかで言ったら……好きなのかなあ。
乃木のように劇的な生き方はしなくとも、自分は似たような生き方をしてしまう気がします。
『坂の上の雲』を読んだときは嫌悪感がありましたが、その人間のことを知ってみれば、理解してみれば、何も言えなくなる。むしろ同情というか、好感めいたものが生まれ出てくる。
既にこの明治にあってさえ、乃木が「遅れた」人間であったということ、最後の「郎党」であったこと。
乃木の一生は運にもまれていたような気がします。彼が不遇だったか、幸運であったか、それはわからないけれど、本編ラストの電車の座席の話は、彼自身をよく表しているような気がします。
やはり私は小説でない形式の司馬さんの作品が好きだなあ。美味すぎる。
最近、広島を見てきたこともあり、自分の中での戦争観が変化しています。
数万の兵をただただ特攻させるという意識はいったいどういうものなのか。駒として扱うとはどういうことなのか。それができる人というのが軍人なのか。
今までの私なら諸手を挙げて抱きつきたいような人物、児玉源太郎にさえ、少しの違和感を感じてしまったことは、広島に行ってよかったことだと思います。