妻の幼少期の「ハードボイルドだぜ沖田総司は」とワイングラスをくゆらせながら語った北方謙三のイメージが強すぎて、北方三国志も北方水滸伝も敬遠(?)していたワタクシ。
三国志は色々見たりしつつも、水滸伝は中国製作ドラマ版を途中まで見たのと、柴連版(絶筆?)をやはり途中までしか読んだことがありませんでした。
今回駒田訳の直訳本に挑戦しているのですが、読んでいる途中で「北方版と並行して読んだら面白そうじゃね?」と思いついてしまう。
そこで借りてきた北方版。
読み出したら面白いじゃないのこれ!
改行のバランスとか、セリフの多さとか、とにかく読みやすくて感情移入しやすい。
ハードボイルドなのかこれは!?
多分相当マイルドになっていると思われ。
1巻を読み終えた時点では、まだ「生しんこう」の強奪も武松の虎殺しもでてきておらず、派手なシーンは全くない。
でも、人と人が各自に動いて流れができて繋がっていく様を見ているのが楽しい。
そのキーマンは魯智深。
キーマンになっているからか、却って魯智深自体はあまり深く描かれず感情移入もあまりできなかったが、今後どうなっていくか興味がある。
それにしても林中の孤独さには痺れる。
林中にも弱さがある。それがなにか。1巻のテーマにもなっている。
これから彼がどう変わっていくのか。
ますます林中が好きになってしまった。
で、本題の直訳本との並行読みですが、あまりにも北方版の構成が本家と異なるので、「無理」という結論(^^;
まずは北方版を読み終えたいと思います。
あまり魅力的に描かれていない宋江が今後どうなっていくかも見もの。
とにかく先が楽しみです。
ちなみに今のところ一番好きな人物は美髯公の朱どうです(柴連版より)。
全然やくたたんかった(笑)。
この本が終始するのは出版業界の冬と作家になるための厳しさ。しつこいくらい、おめえそんな軽い気持ちじゃライトノベル作家なんてなれやしねえぞ! と、わくわくしながら軽い気持ちで手に取った初心者を鬱な気分にさせる(笑)。
誤字・脱字の多さ(20箇所以上あった)とあいまって、「何様なの?」気分が蔓延。
余程の気概がない限り読むことをオススメしないし、気概がある人は読まなくてよさそう。
ライトノベル作法研究所のサイトに行った方がいいと思います。
で、そもそも、俺、ライトノベル書きたくねぇわw
ということがよぉくわかったという。
ハーレム状態を作ろう! とかどうでもいいし。読者へのサービスは必要だと思うけど、最早それってサービスを超えて没自分になってしまう気がする。
ライトノベルを書きたいんじゃなくて、物語を書きたいわけでしょ、みんな。
なんか映画化されるらしいですが、今更初版で平積みのときに買ったのを読んでみました。
いや、面白い。
なんつーか、生々しい。
中級武士が、何にいくら使って、交際費はいくらぐらいだったとか、細かく解説されているわけです。それが、単に学術的な観点から解説をしているというのではなく、物語性をともなった語りで、当時の人々視点で描かれているのがものすごく臨場感があってよい。
借金精算で家財を売却したときの全ての家財の明細とか、面白かったな。
一匁=約4000円という換算で、現代の家系と照らし合わせることが出来るし、我々の生活とそうそう変わらないのだなあというのがよくわかった。
武士には身分を保つための身分費用というものが多く必要だった、というのも納得。
その後の明治武士の勃興も面白かった。海軍に入ったら給料ウン倍でウマーって、そりゃ国がおかしくなるわ。
堅苦しくならず、物語として手軽に手にとってみてはどうでしょう?